アタテュルクの鉄道網

はじめに

アンカラ駅にはアタテュルクの専用客車が保存されている。

政治家の業績を大学の成績に当てはめるとすれば、「秀」や「優」はあり得ないか、ごくまれであり、ほとんどが「良」もしくは「可」である。不可を付けられた場合には国もろとも消滅するから、評価のしようがない。

ムスタファ・ケマル・アタテュルクは、ごくまれにしかいない「優をもらえた政治家」であろう。

アタテュルクの率いる新生トルコ共和国では、オスマン帝国の社会・制度を大きく作り替えるさまざまな政策が実行に移された。外国資本が関与する中で建設・運営されてきた鉄道路線は順次国有化されてゆき、新しい役割を期待されるようになった。

その一方、新しい共和国にふさわしい鉄道網を形成するために、新規路線の建設が急ピッチで進められた。共和国の成立から20年の間に新しく開業した路線の延長は、3000kmを越える。

写真:アンカラ駅に保存されているアタテュルクの専用客車。